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最高裁判所第一小法廷 昭和43年(オ)826号 判決

上告人

伊坂俊二

右補助参加人

伊坂スミ

外八名

右一〇名代理人

寺崎文二

中間保定

城戸寛

被上告人

猪名川礦油株式会社

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人および同補助参加人ら代理人寺崎文二、同中間保定、同城戸寛の上告理由第一点および第二点について。

上告人は被上告会社の設立の当時株主である補助参加人らから株式についてあらかじめ譲渡処分の権限を付与され、第一裏書欄の調印欄にそれぞれ右株主の印鑑を押捺した株券全部の保管を託されていたので、この授権に基づき昭和三四年二月初旬頃株式全部を前記株主の代理人として訴外丸善石油株式会社に譲渡すべきことを約諾して、右株券全部を同会社に交付したところ、同会社はその神戸出張所長であつた訴外三好久一名義に名義書換手続を了し、同人一人が株主となつた旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯することができる。そして、このような、いわゆる一人会社の場合には、その一人の株主が出席すればそれで株主総会は成立し、招集の手続を要しないとする原審の判断は、正当として是認することができる。原判決には所論の違法はなく論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(岩田誠 大隅健一郎 藤林益三 下田武三 岸盛一)

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